
正しい治療法とは
一般的に行われている治療が、絶対正しいとは限りません。医療は日進月歩、日々発展していますが、まだまだ分からないことだらけです。間違った治療でよけい痛くなったり、状態を悪化させてしまう恐れもあります。
例えば椎間板ヘルニアの場合
椎間板ヘルニアを例にとって考えてみましょう。椎間板とは、脊柱を形成している24個の椎骨の間にあるクッションの様なものです。
ヘルニアというものは「飛び出してしまう」の意味です。他に「鼠径ヘルニア」は、腸が飛び出てしまう「脱腸」のことです。椎間板ヘルニアの場合「出ている」ということより「なぜ出てしまうのか」ということのほうが重要です。
それではなぜ出てしまうのでしょうか。老化でも、筋肉が弱いからでもありません。人間の体の土台である骨盤が曲がっているからです。そのために、脊柱がSの字状に湾曲して、クッションである椎間板が真っすぐつぶされず、バランスの悪いつぶれ方をしてしまう為です。
片方だけつぶされれば、もう片方から飛び出てしまうのは当然です。ちょうどハンバーガーを片方から食べた時、その反対側から、はさんである肉が出てしまうのと同じ要領です。
けん引って正しいの?
椎間板ヘルニアの診断でよく行われるのが「けん引」です。土台である骨盤の歪みにより、柱の脊柱が湾曲しているにも関わらず、その湾曲した脊柱だけを、何十キロもの重りをつけ無理にひっぱるのは、根本的な治療と言えるでしょうか。無理に引っ張られた筋肉や靭帯は、その後にゴムの様に縮む習性があります。けん引をしている時は少し楽かもしれませんが、その後痛む恐れがあります。もしくはけん引している時、すでに痛む人もいるでしょう。
コルセットや湿布では根本治療はできません
それでは、湾曲した脊柱を、ギブスのような硬いコルセットで固定すればいいのでしょうか。これも曲がったまま固定されて苦しいだけです。お腹の消化器官まで圧迫されて、機能が低下します。
その湾曲した筋肉を支える筋肉の緊張を、「冷シップ」でただ冷やせばいいのでしょうか。
急性的な疾患、例えば「打ち身」や「捻挫」、腫れていたり熱を持っていたりする場合は患部を一時的に冷やしますが、慢性的な腰痛、椎間板ヘルニアは逆に温めたほうが良いのです。スースーする塗り薬や冷シップは、その時だけ気持ちがいいだけで、治療とは言えません。軽度なものならそれでいいかもしれませんが、重症なものはただでさえ循環不良で冷えている所を冷やすと、さらに患部が萎縮し、硬くなり、血行を悪くさせます。
本当に手術は必要?
重症な人では、「手術」と言われる人もいます。椎間板がつぶれて飛び出した所を取る手術です。はたして、飛び出してしまった椎間板を取ればいいのでしょうか?手術によって湾曲している脊柱を、そこだけ真っすぐに何かで固定すればいいのでしょうか?
もちろんその「飛び出した」ことにより圧迫される神経もあります。
脊柱には脳から腰あたりまで脊髄が入っていて、脊柱を形成する一つ一つの椎骨の後方両脇にある、椎間孔という穴から、各部位への神経の枝を出しています。椎間板が飛び出してその神経を圧迫することで、その神経が支配する各部位に、痛みや痺れが出てしまうのです。そこでその飛び出した椎間板を除去しようというわけですが、どういう訳か、除去した後も症状が残る場合が多いのです。なぜかというと、椎間板が圧迫しているだけの事ではないからです。それは原因のひとつに過ぎず、椎間板が飛び出すまでの脊柱の歪みによる周辺の筋肉や、靭帯の緊張、引きつれ、などもその神経を圧迫していますし、血液の循環も悪くなっているからです。
根本治療は土台の骨盤を真っすぐに!
一番ヘルニアの多い腰椎4番と5番の間、そこを今の要領で飛び出している所を切り取って、4番5番を固定します。しばらくすると、3番と4番の間でヘルニアが起こります。土台が斜めのままなので、柱をいくら補修した所で同じことです。バランスを取るためにはどこかで都合をつけなければならないのです。どうすればいいのか?土台の骨盤を真っすぐにすればいいのです。
レントゲンやMRIは、あくまでも検査であって、治療ではないのです。それで治ることは絶対にありません。
痛み止めの薬、注射、座薬、ブロック注射はあくまでも痛み止めです。痛みは身体からのSOSサインです。火災が起きている所の警報ブザーのようなものです。火災が起きている時、火を無視して警報器の電源コンセントを抜いてしまうことに似ています。もちろん、治療の上で必要なことも数限りなくありますが、そのままではいけません。
対症療法ではなく根本治療が大事
すばらしい治療法はたくさんあります。しかし、見当違いな事をしていてはいけない、と言うことです。野菜が欲しければ八百屋へ、魚が欲しければ魚屋へ、電気屋に行ってもしょうがありません。その症状にあった正しい治療、治る治療をよく見極めて、医者任せ、他人任せではいけません。
痛いところだけ、そこだけ診てそこだけ治療するのを「対症療法」といい、そこだけにとらわれず大きな視野で根本から治療することを「根本治療」といいます。この根本治療が必要な症状は、皆さんが思っているよりもたくさんあります。気を付けて欲しいのは、痛みや症状の原因をよく見極めて、他人任せの治療をしないこと。自分自身の身体なのですから。
